陰陽師の賀茂忠行のお供で出かけたとき晴明は恐ろしい鬼たちが自分たちに向かってやってくるのを見て驚いた。
驚いた晴明は、牛車のなかで眠っていた忠之を起こし、鬼が近づいてくることを話した。
忠行はよくぞ教えてくれたと晴明に感謝するや、術を使ってその場に結界を張って隠れ、一行は鬼たちから身を守ることができた。
これは「今昔物語」に伝わる一説です。
この「今昔物語集」は全三十一巻からなる仏教の教えを説く書です。
このうち二十一巻以降が日本を舞台にしたエピソード集で、単に仏教のことだけでなく、怪異談や伝説、また、都での実話や噂なども豊富に収録されています。
「今昔物語集」が成立したのは、平安後期の保安元年(一一二十年)とされているから、晴明が亡くなってから百十五年に、文章としてまとめられました。
この話の出典は伝わっていないが、忠行や晴明のどちらかが、縁者や家族に話したことが伝わり、それが収録されたと考えられています。